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卓球のボールはなぜ曲がる?ドライブが沈む理由は「マグヌス効果」|回転の物理と正しいかけ方

上級者のドライブを受けたとき、「台に吸い込まれるように落ちた」と感じたことはありませんか。オーバーすると思ったボールが、最後にぐっと沈んで白線の内側に収まる。あの動きの正体は、重力ではありません。回転するボール自身が、空気の力で自分の軌道を曲げているのです。

空気は「壁」であり「味方」でもある

卓球のボールはわずか2.7グラム。これほど空気の影響を受けやすい球技のボールは、ほかにありません。時速60〜80kmで飛ぶボールにとって、空気はただの背景ではなく、軌道を決める主役のひとりです。

飛んでいるボールから見ると、空気は前から後ろへ流れています。ここでボールが回転していると、面白いことが起きます。ボールの表面は空気を少しだけ引きずって動くため、回転の向きによって「空気の流れが速くなる側」と「遅くなる側」ができるのです。

物理の世界には「流れが速い場所ほど圧力が低くなる」という法則があります(ベルヌーイの定理と呼ばれます。飛行機の翼が浮く理屈と同じ仲間です)。つまり回転するボールの周りでは片側の圧力が下がり、ボールは圧力の低いほうへ押される——これがマグヌス効果です。

ドライブが「落ちる」理由

前進回転(トップスピン)のボールでは、ボールの下側で空気の流れが速くなり、圧力が下がります。結果、ボールには下向きの力が働く。重力に加えてもう一つ、ボールを落とす力が乗るわけです。

だからドライブは、直感よりも急に落ちます。「あれだけ強く打ったのに台に入る」のは、回転が作った下向きの力が、スピードの出しすぎを帳消しにしてくれているから。回転は攻撃の道具である前に、まず保険なのです。強く打ちたければ、まず回転をかける。物理がそれを保証してくれます。

逆に下回転(バックスピン)では力の向きが反対、つまり上向きになります。カットのボールがふわりと伸びて、思ったより奥まで飛んでくるのはこのためです。横回転なら力は横向きに働き、カーブドライブやシュートドライブになります。曲がる方向は全部、同じ一つの法則で説明できてしまいます。

ナックルが「揺れる」理由

では、回転のないナックルボールはまっすぐ素直に飛ぶのかというと、そうではありません。回転がないとボールの後ろの空気の流れ(後流)が安定せず、不規則に剥がれます。その反動でボールは小刻みに揺れる。回転がある球は素直に曲がり、回転がない球は不気味に揺れる——受けにくいのはどちらも空気のしわざです。

「薄くこすれ」は半分ウソ

ここで注意したいのが、「回転をかける=薄くこする」という思い込みです。実は物理的には、こするだけでは回転はかかりません

回転を生むのはラバーとボールの間の摩擦力ですが、摩擦力には上限があり、その上限は「ボールをラバーに押し付ける力」で決まります。押し付ける力は、ぶつける成分からしか生まれません。薄く当てるだけだと押し付けが足りず、ボールはラバーの表面を滑って、こすった労力が回転になりきらないのです。しかも薄い当たりは有効な接触範囲が数ミリしかなく、空振りのリスクも跳ね上がります。

だから正解は「こする」ではなく、「ぶつけながらこする」。ボールを一度スポンジまで食い込ませてがっちり掴み、そこからこすり上げる。食い込んだラバーがバネのように戻る力も回転に上乗せされるので、薄く撫でるより回転も安定感も上になります。

明日の練習で試すなら

オーバーミスが多い人は、スイングを弱める前に、当たりを厚くして回転量を増やしてみてください。ボールをラバーに食い込ませるつもりで一度ぶつけ、その勢いのままこすり上げる。回転が増えればボールを落とす力(マグヌス力)が増えるので、同じ勢いで打っても台に収まるようになります。

入れたいなら、ぶつけながらこすれ。

感覚論に聞こえるこのアドバイスは、実は摩擦と空気力学の話だったのです。

とはいえ、「ぶつけながらこする」の力加減は、文章だけではなかなか掴めません。S_ONE卓球スタジオでは、コーチがあなたの当たりの厚さと回転量を実際に見ながら、一人ひとりに合わせて調整していきます。無料体験も受け付けていますので、「回転のかかったドライブを身につけたい」という方はぜひ一度お越しください。

この記事の物理の説明は、要点が伝わるように簡略化しています。マグヌス効果の厳密な説明には流体力学のより詳しい議論が必要ですが、「回転が軌道を曲げる力を生む」という結論は変わりません。

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